ポルトガルはシントラ。ユーラシア大陸最西端のロカ岬へと続く森の中を、独り歩いていた。
針葉樹系の香りが、粒になって鼻腔の中で弾けるのを感じた。
その時にふと、幼い頃アゲハチョウの幼虫を育てたことを思い出した。薄黄色の謙虚な卵を家に持ち帰り、孵化後は毎日山椒の葉を与えた。
サナギになり数日後、美しい翅を持ったアゲハチョウが中から出てきた。幼虫期を過ごした家を離れるのが名残惜しいのか、少し戸惑いを見せていたが、最終的にはベランダからひっそりと飛び立っていった。
ウッディノートを中心に、インセンス、レザー、 ローズ、四川山椒やジンジャー等のスパイスが華やかに香る。レモン、ベルガモット、ローズマリー、バジル、四川山椒、シナモン、ジンジャー、 クミン、クローブ、アイリス、ローズ、ゼラニウム、レザー、パピルス、パチュリ、ムスク
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çanoma
çanoma(サノマ)は“上質な日常”をテーマに、2020年秋にパリで誕生したニッチフレグランスブランド。
日本人クリエーターの渡辺裕太氏がディレクションを取り、フランス人調香師Jean-Michel Duriez(ジャン=ミッシェル・デュリエ)とともに、既存の香水にはない新しいアイディアと熟練した技術による調香を兼ね備えた、日本人が日常使いできる香りを生み出す。
-çanoma-
香水は“上質な日常を提供するもの”でなければならないという考えのもと、ブランド名には日常を表す「茶の間」と、上質の象徴である「茶道」という2つの言葉を選び、共通する“茶”の字の発音を入れ替えて、sanomaという音を作り、そこにフランスが培った香水文化のエッセンスを表現するために“ça”を用いることでçanomaと付けられた。
【予約商品】çanoma 2-23 | 胡蝶 - 100ml
香りの系統は、ウッディノートを中心に、インセンス、そして四川山椒やジンジャー等のスパイス。ミドルからラストにかけて徐々にローズ、レザー、ムスクなど上品で優しい甘さも。
シリーズの中では一番重い香りになりますが、身は軽めで、どっしりした暗さではありません。かつ肌残りは長く感じれます。
一般的なウードに比べ、より繊細で透き通った印象で、とても綺麗ではあるけどスパイシーなキャラクターも感じれる香りです。そしてその綺麗な香りが長く続くのも嬉しい点だと思います。とても綺麗で繊細さを感じる一方で、スパイス系の力強さも感じれます。特別な日にこそ使いたくなるそんな香りかもしれません。
ウードにローズを加え、そこにサフランなどのスパイスを足すという、ウード系の香水の王道の組み合わせを踏襲し、ウード調ウッディ・スパイシー・ローズという香調となっている。
ウード調ウッディ:
レザー、パピルス、スティラックス、パチュリ、アンバー
通常ウード調の香りを作る際に入れるカストリウムは入れず、変わりにアニマルな側面をレザーを中心に表現した。中東的な側面は薄く、それでいてウードの雰囲気のあるウッディとなっている。
スパイシー:
四川山椒、シナモン、クミン、ジンジャー
他にもいくつかのスパイスを入れているが、このスパイシーブロックの中心をなすのは、四川山椒、別名花椒である。ムエット上では若干薬っぽい印象を与えるかもしれませんが、肌にのせるとレザーの香りとあいまって、綺麗な香りになる。
ローズ:
ローズの中でもフレッシュな部分のみを用い、甘い部分は取り除いた。ゼラニウムに近いローズとなっている。